将棋をアプリでやっていると、指した瞬間に気づく「悪手」が稀にある。
将棋は、基本的には同じ戦力で戦うゲームなので、
歩の一枚であっても、ただ意味もなく損をすると、少し戦力差が広がってしまう。
ところが先日、見事に飛車のタダ捨てをやらかしてしまった。
せっかくの機会、久しぶりに棋譜を紹介しよう。
今回も将棋ウォーズだ。
後手の序盤
私は後手。
相手も横歩を取ってきて、△3三角と受けたところ。
ここまで5秒。
後手番でも横歩取りを目指すと、先手が受けてくれれば自然とこんな展開になる。
ここからの展開はお互いの構想次第ではあるが、今回はすんなり△8四飛戦法だった。
お互いに金銀をバランス良く配置し、
▲3六歩でいよいよ中盤に入るところだ。
囲い合い方は少し珍しい形だとは思うものの、
よくある横歩取りの展開である。
この瞬間、飛車の横利きが止まるので、後手にとっての仕掛け時のひとつ。
いいタイミングで角交換ができれば△4四角が飛車当たりになる。
さらに、飛車が2筋から離れれば、△2八角から馬を作る手順もあるのだ。
・・・というわけで、△8六歩から仕掛けていく。
△8六歩▲同歩△同飛▲3五歩△8五飛は一連の流れ。
△7六飛と後手も横歩を取る手を▲3五歩を突いて飛車の横利きで止め、
後手は△8五飛とその突いた歩を狙う。お互いに譲らない展開になる。
中盤の攻防
先手はここでの指し手が難しいところ。
私が先手ならパッと見は▲7五歩、あるいは▲3七銀や▲3六飛をやってみたいところだ。
今回は▲3四歩だったので、角交換から△4四角を狙った。
対して、▲7七桂と飛車を狙ってきた。
この手は悪手。
すんなり飛車を取り合えば桂馬が前に出る分、先手が得をする。
だが、△8八飛成と飛車を切ってから△2六角と取れば後手の銀得になってしまう。
飛車取りを掛け合う場合は、飛車を切られないようにしなければならないのだ。
初心者・初級者の方にも、是非覚えておいていただきたい手順である。
当然、そのように局面が進む。
この局面は後手が指しやすいだろう。
なんて言っても銀得は大きい。
横歩取りの将棋の攻めの中心となる桂馬の活用が遅れてはいるものの、守り駒として一応は働いている。
2・3・8筋に歩が打てるので、細かい攻めが有効そうだ。
先手は8筋からの攻めの楽しみがあるものの、自陣のスキも気になるところ。
となればやはり駒の損得が形勢を決める鍵となるが、
前述のように銀得をしている後手がいいだろう。
優勢になっているのだからゆっくり行けば自然と勝つはず。
・・・と思っていた。
先手からは▲2三歩△同銀▲5五角。
両方の香車を狙う手だ。
ただし、香車を取られてもすぐにピンチになるわけではない。
対して、角と金の両取りをかける△8五飛(大悪手で敗着)。
・・・打った瞬間に気づく。
桂馬でタダ!!!
後から思い返すと、このとき一応、
△6五桂という受けはあるかなぁ〜でも▲同飛で大したことないか、
という読みはあった。
何故か打った飛車に利いているという方向は考えなかったのに・・・
相手も少し悩むかと思いきや、2秒で△同桂。
ぐああ。。。
こんな将棋にしてごめんなさぁい・・・
大悪手後の展開
駒割りは飛車銀交換になってしまい後手が不利、
しかも、角の両成りが残っている。
手番ではあるが有効な攻めがない・・・
▲5五の角が、打ちたい歩すら打たせてくれない。
結果、一気に後手不利。
悪手の中でも、駒のただ取られ(しかも飛車!)は最悪に近い。
一気に敗勢になってしまった。
とはいえ、即投げは私のポリシーに反するので、
負けの形が見えるまでは指す。
攻め駒が明らかに不足しているので、守りを固めてワンチャンスを待つ。
私が飛車をただ取られしたように、
相手も何か重大な見落としをしないとも限らない!
(完全に他力本願と言えるが、粘りの姿勢とも言えるだろう)
しかし集中力も欠いていたようで、ついには、角も取られる。
もう投げようかと思うものの、
まだ詰めろもかかっていない状況では投げられない。
そして、ワンチャンスすら与えない▲7八馬。
これは勝つ将棋を指す、強い人だ。
後手の私からすれば、心を折られた瞬間がこちら。。。
飛車が何とか手に入って△7九飛と打てれば紛れが無くはないか・・・と思っていたが、
ここに馬を引かれてもうジ・エンド。
あとはもう、されるがまま。。。
寄せの間違いもあるかと期待するものの、さすがにこの状況でそれはない。
完敗の投了図をごらんいただこう。
龍で頭から押さえつけられても、金銀を並べていくだけでも。
どうやっても負けで、手番が来ても攻めの糸口すらない。
悪手から完敗を喫した勝負であった。
大切なこと。
駒をタダで取られちゃいけないよ!(特に飛車!)
あなたもこれを反面教師にして欲しい。
反省の弁
10分切れ負けの短い時間で戦っているとはいえ、
こういう酷い手を指すようでは、そりゃ勝てないよなぁ。
と、そんなことを思った対局だった。
もう一度基本に戻って、
飛車と角と桂馬の位置と利きを確認してから指す、
ということを強化しよう。
最後に棋譜を載せておく。
堪能いただけたら幸いだ。