横歩取り△4五角戦法の狙い筋にハマらない指し方の概要

横歩取りの裏定跡、△4五角戦法。横歩取りの戦形になった瞬間に後手から激しく攻め立てられる変化になる、超急戦だ。

現時点では、正確に指せば後手の無理筋という結論が出ている。が、その変化はかなり複雑で、定跡を知らないと正確に受け切るのは難しい。有段者でも完璧に対策出来ている人はほとんどいないだろう。

ここでは、後手の4五角戦法の狙い筋を示し、ハマらないための指し方を紹介しよう。

先手の横歩取りを一気に潰してやろうという、そんな後手を逆に手玉にとれるよう、何度も読み返し、実践で指しこなしてほしい。

1. 横歩取り 4五角戦法とは?

まずは4五角戦法の前に、横歩取りの基本図を示そう。
手順前後によっては別の戦型に誘導されることもあるが、
基本図までいけば先手後手ともに横歩取りの合意が取れた形となる。

▲7六歩△3四歩▲2六歩△8四歩▲2五歩△8五歩▲7八金△3二金
▲2四歩△同歩▲同飛△8六歩▲同歩△同飛▲3四飛(横歩取り基本図)

 横歩取り基本図

ここからいきなり、

△8八角成▲同銀△2八歩▲同歩△4五角(横歩取り4五角基本図)

といくのが、ここでお伝えする横歩取り4五角戦法。

横歩取り△4五角 基本図

一見して気持ちの悪い、厄介な角である。

後手の狙いは、△6七角成▲同金△8八飛成。
無条件でそれを許してしまっては、後手の狙いにまんまとハマってしまった形となる。

先手としては、それ以上の戦果を出すように戦う必要がある。

プロの研究では、「後手の無理筋」という結論が一応出ている。
先手としては、最善を指し尽くして、後手がどう指しても互角以上に戦える形としたい。

先手からも様々な分岐があるが、ここでは先手にどんな手があるのかを紹介するにとどめよう。
あくまで、最善を指し続けた場合の後手の変化を研究していこう。

後手が取りうる分岐を一つでも多くを知り、どう指せば先手が良くなるのか。
読み進めて、研究してほしい。

2. 最初の分岐は▲2四飛!

上述の横歩取り4五角基本図から、いきなり分岐がある。

本筋は、▲2四飛だ。

なお、実は▲3五飛や▲7七角という手もそれなりに有力だ。
それらはまた別の機会にご紹介しよう。

2-1.▲2四飛に△6七角成(後手無理筋)

定跡が教える通り、ここは一度▲2四飛と寄るのが最善である。
このタイミングで、△6七角成も考えられるが、これはさすがに後手が無理筋だ。

横歩取り△4五角 △6七角成

△6七角成とされれば、▲同金△8八飛成▲2一飛成とここまでは必然だ。

横歩取り△4五角 攻め合い▲2一飛成
ここで、△8九竜と先に王手がかかるが、
冷静に▲6九歩で問題ない。

△5五桂と打つぐらいだが、
▲6八金△6七銀▲5八金寄となり、後手の攻めを余している。

横歩取り△4五角 ▲5八金寄

△7八竜がせめてもの頑張りだが、先手からは、▲3三角の王手がほぼ詰めろの様な厳しさで、一気に勝つことが出来る。

横歩取り△4五角 ▲3三角

△7八竜▲3三角△同金▲3一竜△6二玉▲4二竜で先手勝ち。

また、▲3三角では、▲2四桂と打っても十分だ。

2-2.▲2四飛に△2三歩

飛車を成り合っては勝てないので後手は、▲2四飛には△2三歩と打ってくる。
先手から見れば、後手に一歩使わせただけでなく、△2七歩からの攻め筋を消している。

横歩取り△4五角 △2三歩

この交換を入れてから、▲7七角と打って飛車を取り合うのが定跡の教える手。
△8八飛成▲同角△2四歩▲1一角成△3三桂▲3六香と進む。

横歩取り4五角 ▲3六香

似たような変化があり、ここで一歩持たれているケースがある。
その場合、△3五歩と打たれる順がある。
そちらは、▲同飛△2五飛という切り返しがきつく、先手が劣勢。
微妙な形の違いが優劣を変える、良い例だ。

2-3. ▲3六香の応手は3つ

さて、定跡の教えるとおり▲3六香まで進んだ。
ここでの後手の応手もまた、定跡が整っている範囲だ。 

2-3-1. △8七銀と直接金に働きかける

△8七銀と、金に働きかける手がある。
▲同金は△7九飛が厳しい。この銀は取れない。
横歩取り△4五角 △7八銀

△3三桂がいるため、▲7七馬とは引けない。
(似たような変化で、▲7七馬と引く手がある。成り込んだ馬を自陣に引き戻せれば、有利になるケースが多い。)

なので、▲7九金と引くぐらいだろう。
そこで待ってましたと△6七角成が飛んでくるが、この瞬間に攻め合うことで先手有利になる。

▲3三香成△7八銀成▲同金△同馬▲3二成香という展開が予想される。

横歩取り△4五角 ▲3二香成

以下△同銀に▲4八玉とするのが、値千金の早逃げ。
これで先手が▲6二歩〜▲6四歩を楽しみがあり、有利となる。
後手からの攻めは手厚く受けておけば、一気にやられることはない。

2-3-2. △6六銀と間接的に金に働きかける

直接手であった△8七銀と比べ、歩の頭に銀を打ち付ける手段だ。

横歩取り△4五角 △6六銀

△3三桂と跳ね、馬の効きが遮られているからこそ成立する手。
またしてもこの銀は取れない。

私が初めて横歩取り4五角戦法をかけられたのは、この変化だった。
当時は確か攻めあって先手十分だったハズ!という知識しかなかった。
▲3三香成△6七角成の攻め合いになり、相手のミスもあって勝つことができた。

まずはこの変化から見ていこう。

▲3三香成△6七角成▲同金△同銀成

横歩取り△4五角 △6七銀成

一見危なく見えるこの図だが、やはり危ない。
手抜いて攻め合おうとすると、△3八飛で勝負あり、となる。
(私はここを読み抜けており、手抜いて攻めた。
 が、相手が△3八飛を見落としていた)

横歩取り△4五角 △3八飛

ここは冷静に、6八の地点を守るのを忘れてはいけない。

▲6八歩△7九飛▲4八玉△5七成銀▲同玉△4九飛成▲3二香成△同銀▲8三角

横歩取り△4五角 ▲8三角

この▲8三角が攻防に働く決め手となり、先手が受け切り勝ちとなる。

▲3三香成に対して、△6七銀成とする手もある。
こちらは無視して攻め合うのが良い。

横歩取り△4五角 △6七銀成

▲3三香成△6七銀成▲3二成香△7八成銀▲3一成香△6七角成
これが△6九飛からの詰めろだが、▲3三馬△6二玉▲2二飛△5二金と王手をかけて▲4八玉と逃げることで、安泰となる。

まさに、早逃げ八手の得。

 横歩取り△4五角 ▲4八玉

2-3-3. △3六同角と香車を払う

もう一つ、▲3六香に△同角とする手がある。

横歩取り△4五角 △3六同角

これまでのような、6七を狙っていく作戦とは違い、
△3六同角▲同歩に△5四香と、玉頭をダイレクトに狙う作戦だ。

この瞬間、後手は角銀交換、さらには馬を作られているという大きな駒損になる。
しかし、いつでも△4五桂と跳ね出して勢いをつけることができる。
玉頭を勢いよく攻められると、先手もなかなか応手が難しい。

単純に受けるような手は、△4五桂の応援が飛んでくる。
5七の地点で清算されて、△6九飛のような打ち込みが厳しい。

ここでは、△4五桂を防ぎつつ攻めを見せる、▲8五飛が最善手のようだ。

横歩取り△4五角 ▲8五飛

単に△5七香成もそれなりに厳しく、▲5八歩△6八銀▲同金△7九飛の攻め筋を見せる。

横歩取り△4五角 △7九飛

が、8五の飛車が8九の桂馬を守っている。素晴らしい▲8五飛というわけだ。

そこで後手は、△4五桂▲同飛と飛車を動かしてから、同じ攻めを見せるがこれはどうか。

横歩取り△4五角 △4五桂

△4五桂▲同飛△5七香成▲5八歩△6八銀▲同金△7九飛▲6九銀△6八香成▲同玉△8九飛成

横歩取り△4五角 △8九飛成

途中、▲6九銀と手厚く受けて先手が良い。
後手は駒損が大きく、戦力不足だ。

この変化でも、後手は上手くいかない。

3. 4五角戦法に出くわしたら

たくさんの変化があったものの、 先手が丁寧に対応さえすれば、勝手に有利になる。
後手としては、先手の受け間違えを狙うような手なのだ。

プロ間では、皆この辺りを熟知している。
ほんの僅かな差で勝負をかけているプロでは、このような変化は指されない。
 (新手が出て来れば別ではあるが・・・)

しかし、我々アマチュアはどうだろうか。

24でも、将棋ウォーズでも、横歩取りになると3割ぐらいは4五角になる。
特に将棋ウォーズは、長くても持ち時間10分。しかも切れ負けである。

こうなると、読み合いで勝つのは相当な実力者でなければ無理だ。
「ただ知っているか、知らないか」の世界になってしまう。

横歩取り指しを目指すあなたにとっては、後手のこの作戦を熟知し、
最善手で指し続け、相手の無理筋を咎めて欲しい。

何度も何度も読み、理解し、指しこなすための指針としていただければ幸いだ。

ここでは、△4五角戦法の最善と言われる先手の応手を述べてきた。
が、実はもっと多彩な変化がある。

本筋ではないぶん、後手も研究していない場合が多い。
余裕があれば、△4五角戦法の対抗策として、変化球も用意しておくと良いだろう。

他の変化については、別の記事を用意するので、楽しみにしておいて欲しい。

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