将棋界で最も歴史のあるタイトルといえば「名人」だ。
2014年春、森内名人に羽生さんが挑戦し、4連勝で奪取したのは記憶に新しい。
今年も挑戦者を決める「A級順位戦」の最終局が3月1日に行われた。
激闘の末、なんと4名でプレーオフを行うという事態になった。
順位戦とは?
ここで、順位戦について簡単に触れておこう。
棋士のランク付けがなされる、最重要で過酷な棋戦
順位戦は名人挑戦をかけて戦う棋戦でもあるが、
プロ棋士のランク付けをする棋戦でもある。
A級、B級1組、B級2組、C級1組、C級2組、といった、
ピラミッドの形になっているのだ。
A級はトップの10人だけが在籍出来る。
A級に昇りつめても、下位2名は即降級という、相当に厳しい棋戦だ。
(私の大好きな佐藤天彦さんがB級1組を一気抜けして来期A級入りを果たしたのは、相当に凄いことなのである)
NHK杯の棋士紹介を見ていても、
「竜王戦は○組、順位戦は○級」と言って紹介がなされる。
竜王戦も名人戦と並ぶタイトルである。
こちらは1組〜6組まであるのだが、6組からでもタイトル挑戦の可能性がある竜王戦に対して、
順位戦はまずA級まで昇りつめ、そこで1位にならないと名人には挑戦出来ない仕組みになっている。
そういう意味では、時の実力者が明確に見えるのがこの順位戦とも言えるだろう。
より詳しく順位戦の規定・仕組みを知りたい方は、以下リンクを見てみると良いだろう。
A級の顔ぶれ
そんなわけで、ここA級には本当に実力者が揃っている。
B級1組にも強豪は多いが、やはりA級は抜きん出ているメンバーばかりだ。
森内九段
行方八段
渡辺二冠
佐藤康光九段
深浦九段
三浦九段
久保九段
郷田九段
広瀬八段
阿久津八段
(順位(=前期の成績)順)
この10人で、羽生名人(四冠)への挑戦をかけて、1年間戦ってきたのだ。
順位戦は持ち時間も6時間と長く、深夜までかかることも珍しくない。
事実、最終戦の佐藤ー深浦戦は、2時過ぎまで熱闘が続いていた。
4名でのプレーオフ
A級の頂点に立った人が名人挑戦権を得ることができる。
B級1組までは、前期の順位差で昇級者を決めるが、
A級だけはプレーオフ、真の頂点を決める戦いが用意されている。
そしてそこに、10名中4名でのプレーオフとなったのだ。
プレーオフ進出者
プレーオフに進出したのは、
行方八段
渡辺二冠
久保九段
広瀬八段
の四名だ。
私は渡辺二冠の対四間飛車の本を愛用しているので少し贔屓してご紹介すると、
渡辺二冠は今、棋王戦で羽生四冠の挑戦を受けている。
こちらは5番勝負を2連勝しており、防衛間近であるが、さてどうだろうか。
しかし、順位戦では今期は3連敗スタートだった。
さすがに挑戦は無理かなと思っていたが、そこからの6連勝は見事である。
23年ぶりの珍事
wikipediaを見てみると、4人でのプレーオフは23年前、第50期順位戦以来だそうだ。
4人が6勝3敗で並ぶというのは、前回と同様だ。
第50期の当時は・・・
大山康晴さん
谷川浩司さん
高橋道雄さん
南芳一さん
という大物ぞろいである。
さすがA級順位戦という雰囲気だ。
トーナメントと対局日時
前期の順位によってトーナメントの形に違いが出て、
こんなような形式で戦いが行われる。
久保九段や広瀬八段は3回勝たなければならない。
実力者ぞろいの中、挑戦権を得るのは果たして誰であろうか。。。
当日はニコニコ生放送あり!
A級順位戦の最終局もそうであったが、
プレーオフ局もニコニコ生放送がなされるようである。
熱戦が期待されるので、ぜひ見てみると良いだろう。
順位戦に思うこと・・・
ただでさえ熱戦の多い順位戦を、
3局も多く見られると思うとそれだけで嬉しい。
棋士の皆様にとっては大変なことで、
それぞれ必死になっていることとは思う。
が、将棋ファンとしてはやはり、いい対局を一局でも多く見れるというのは嬉しいことだ。
プレーオフで弾みをつけて、名人戦でもいい対局を見せて欲しいと心から願う。
今日のニコニコ生放送も楽しみだ。