横歩取り急戦志向の△3八歩への対応 その②

横歩取りの急戦△3八歩の対応の続編だ。

▲同銀と取り△4四角戦法に向かうのが一般的な定跡だが、
同銀以外の対応も、先手やれないことはない。

この急戦志向△3八歩への対応を、少し深く学んでみよう。
前編と合わせてお読みいただくことで、より理解が深まることだろう。 

本記事に記載、もしくは関連する変化は以下のチャートの通りだ。

▲3四飛 (横歩取り基本図)
┣△3八歩 (その①)
┃ ┣▲同銀
┃ ┃ ┣△2八歩 (その①)
┃ ┃ ┣△4五角 (その①)
┃ ┃ ┗△4四角 △4四角戦法へ(別記事)
┃ ┣▲同金
┃ ┗▲2八銀 横歩取り急戦志向の△3八歩への対応 その②(本記事)
┗△2八歩 △4五角戦法へ

では、早速見ていこう。

課題局面 △3八歩

横歩取り△3八歩

この歩に対する対応として、最も自然なのが▲3八同銀である。
それについては、横歩取り急戦志向の△3八歩への対応 その① に記載した。
また、△4四角戦法についても、今後記載していく予定だ。

この記事では、その他の候補手▲2八銀を見ていこう。
ずいぶん長くなってしまったので、▲3八同金はまた別の記事にしようと思う。

▲2八銀と避ける手の変化

後手からすれば、いかにも上手く攻められそうな局面。

横歩取り△3八歩に▲2八銀

△2七歩▲同銀に△2八角や△4五角、△4四角などがありそうだ。

さすがに先手は△2七歩は手抜きが出来ないので▲同銀の一手。

だが、後手からは△2七歩を入れない攻めもありそうだ。

ひとつずつ、見ていこう。

1.△2七歩を入れてからの△4五角

△2七歩▲同銀△4五角という手がすぐ見える。

横歩取り△3八歩 △2七歩〜△4五角

そして、これが一番自然。
両取りで調子が良さそうなのだが、後手は歩切れになっている。

さて、ここでも分岐が現れる。
△4五角戦法に倣っていけば、▲2四飛だが、▲7七角と打つ手もありそうだ。

1-1.▲2七銀△4五角に▲2四飛の変化

▲2四飛から見ていこう。

飛車を避けた手に対しては、△6七角成▲同金△8八飛成▲2一飛成と進行するのが一例だろう。
 (2三に打つ歩は無い)

1-1-1.△6七角成に▲同金

自然に進んだようなこの展開だが、果たしてどうだろう。

横歩取り△3八歩 攻め合い龍をつくり合う

桂馬を取りながら▲2一飛成が実現したので、この局面は一見先手有利。
桂を取り返しても角銀交換で先手の駒得があるし、
後手は流暢にしていると、▲3一龍△同金▲3三角の王手飛車があるので、この局面は忙しい。

ただ、この局面では後手には必殺の△3九歩成がある。

横歩取り△3八歩 後手の一気寄せ

▲同金は△5八銀▲4八玉△6七銀成までの即詰み。
と金を取れないのが痛すぎる。
もちろん、放置すれば△4九と からの頭金。
これは、△3八歩が活きるような展開になってしまった。

ここでなんとか頑張るには、先ほどの王手龍の筋を仕掛けていくより無いだろう。

▲3一龍△同金▲3三角△6二玉▲8八角成

横歩取り△3八歩 ▲8八角成と龍を抜くものの

なんとか龍は抜けたものの、△4九と▲同玉に△2八飛が好手。
これが決め手になりそうだ。

横歩取り△3八歩 絶好の△2八飛

▲3八銀打と粘るより無いが、△2六歩が後続手。

先手はここで攻め込みたいが、いかんせん手がかりが少なすぎる。
この展開は、先手苦戦と言ってもいいだろう。

先手の対抗策としては、△6七角成に▲7七角という切り返しがありそうだ。

1-1-2.△6七角成に▲7七角

横歩取り△3八歩 ▲7七角の変化

これも他の先方でも見たような変化になるだろう。
以下、△7八馬▲8六角△8八馬▲5三角成△5六歩という進行が一例。 

横歩取り△3八歩 ▲7七角の変化の一例

ただし、これで歩切れになるので後手は少し指しにくいとは思う。

まだまだ互角と言っていいだろうが、後手の攻めもしつこそうだ。
いずれ▲4八玉とあがれれば先手がよくなるだろう。
ただ、この変化であれば、△4五角の応手▲2四飛に代えて▲3五飛という逃げ方のほうが勝る。

一見、銀を取られる変化なのだが、それについては少し先にお伝えしよう。

1-2.▲2七銀△4五角に▲7七角の変化

▲2四飛の変化は先手難しかった。では、△4五角の瞬間に▲7七角とする手はどうだろうか。

横歩取り△3八歩 △4五角に▲7七角

ここは後手に選択権がある。△8八飛成といくか、△7六飛と歩を取りながらかわすか、だ。

1-2-1. ▲7七角に△8八飛成

良く見る部分的な進行では、△8八飛成▲同角△3四角▲1一角成

横歩取り△3八歩 △4五角に▲7七角 ▲1一角成で先手有利

もちろん、まだまだこれからの局面であるが、既にやや先手がいいと思う。

△3三桂には▲3六香があり、角に直接迫れる。
△8七銀には▲7七馬と引いてスキが無い。
△2八飛には▲3八銀といしておいて十分だろう。

▲7七角に△8八飛成は先手良し。
△7六飛と回る手段のほうが良いのだ。

1-2-1. ▲7七角に△7六飛

▲7七角△7六飛の方を見ていこう。

横歩取り△3八歩 ▲7七角に△7六飛

角が動けば金が抜かれてしまう。
かといって飛車あたりなので、何とかしなければならない。
しかし後手も後手で、先手に無条件に3八の歩を取られると苦しくなってしまう。
お互いに忙しい局面なのだ。

自然に指しても激しくなり、▲2四飛△2三歩▲8四飛△2七角成▲8一飛成が進行例。

 横歩取り△3八歩 △4五角に▲7七角△7六飛の進行例

△2三歩と打たせれば△2八歩が無くなり、かつ歩切れにもなる。
そこで▲8四飛と回って攻めを見せつつ、守るようなら▲3八銀と歩を払うのを見せる。

勢いで△2七角成▲8一飛成と進む、というわけだ。

ここからさらに、

△2六飛▲8三桂△7二銀▲9一龍△8三銀と進んだ状況はどうだろう?

横歩取り△3八歩 △4五角に▲7七角△7六飛の進行例

手番は先手。
なんといっても▲3五香が楽しみだ。
▲1一角成として玉の逃げ道を確保出来る手もありそうだ。

後手は歩切れだし、△3八歩が攻め駒の邪魔をしているような格好だ。
というわけで、先手よしと言うのが私の結論だ。

1-3.▲2七銀△4五角に妙手▲3五飛の変化

実は▲3五飛と逃げる変化も無いことはない。
銀がタダになる奇抜な受けだが、極端に悪いわけではない。

横歩取り△3八歩 △4五角に▲3五角

狙いはもちろん、△2七角成▲2五飛の馬と桂馬の両取り。
すこし、この変化を見ていこう。

1-3-1.△2七角成▲2五飛の展開

さて、銀を取られたが両取りで返したと言う先手の主張。
これは通るのだろうか?

横歩取り△3八歩 △4五角に▲3五角

後手は、△5四馬▲2一飛成であっても銀桂交換でまだ駒得。
とはいえ龍が強いので、後手は△7六飛と盤上この一手。

次は△7八飛成とされては負けなので、受けが必要。
しかし、何で受けても次の△2六飛が厳しいのだ。

横歩取り△3八歩 △4五角に▲3五角 逆襲の△2六飛

先の一例を示そう。

▲6八玉△2六飛▲1五角△3三桂▲2六飛△同馬▲同角△2八飛

横歩取り△3八歩 △4五角に▲3五角 △2八飛

後手も無理気味の攻めではあるが、駒の補充が見込める。
これはこれで難しい将棋だと思う。

 

1-3-2.△6七角成の展開

▲3五飛に先ほど同様に△6七角成と攻め込んでくれば、
やはり▲7七角△7八馬▲8六角△8八馬△5三角成。

横歩取り△3八歩 △4五角に▲3五飛 △6七角成の変化

今度は▲3二飛成と切っていく手が強烈なので、後手は駒を使って受けるしかない。
△4二金▲6三馬と迫り、先手良し。

後手は下手に動くと、▲8五飛と馬との両取りをかけられる位置なのがよろしくないのだ。

急によくなるわけでもないが、悪くなるわけでもない。
ただ、おそらく▲3五飛は意外性のある手なので、相手の同様を誘うことが出来るだろう。

2.△2七歩▲同銀△2八角

一度だけやられたことがあるのが、△2七歩▲同銀△2八角という手。
一見して狭い角で、どうとでもできそうだ。

横歩取り△3八歩 △2八角

進行を1例だけ簡単に紹介することとしよう。

2-1.いつでも厳しい▲2二歩

一瞬、香取りにあせってしまうかもしれないが、▲2二歩と打って撃退可能だ。
3筋に飛車が居る形は、いつでも▲2二歩が急所になる。

横歩取り△3八歩 △2八角に▲2二歩

△3三桂▲2一歩成△3九歩成▲3一と△4九と▲6八玉△4二金

横歩取り△3八歩 △2八角に▲2二歩

ここまで進めば、ハッキリと先手が有利。
手番だし、攻め筋が多いし、持ち駒もある。
▲2四飛などからゆっくりいっても十分だろう。

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