書評:横歩取り超急戦の全て/飯島栄治 著

今回ご紹介するのは、横歩取りの裏定跡研究の決定版。

横歩取りの△4五角戦法を中心に、△3三角戦法や△4四角戦法など、
「後手で簡単に勝つ!先手をはめる!!」
ということを意図して書かれている。

横歩取りは何となく怖くて・・・という方は、ぜひ横歩取りの面白さを理解するために手にとってほしいと思う。
では、内容を紹介していこう。

1. この本を読もうと思ったキッカケ

横歩取り指しを目指すようになり、プロのような△3三角から△8四飛・△8五飛についての戦法を研究し、
そこそこの理解は出来て、激指先生の2級ぐらいとは五分に戦えるようになった。
 (電王戦の豊島vsYSSの解説会に行った際に抽選でいただいた、「横歩取りマップ」が愛用書だ。
  イベント自体は、対局が早く終わってしまったこともあり、トークイベントに変わっていたが・・・)

しかし、対人間で先手をもって横歩を取ると、なかなか思うような横歩取りの展開にならなかった。
後手番であれば、△3三角▲3六飛に△8四飛と引いて、指したいような展開に出来た。

 が、先手番では、横歩を取った瞬間に、△8八角成▲同銀△2八歩▲同歩△4五角
将棋ウォーズで指しても、将棋の道場に行っても、横歩取り△4五角戦法になることがほとんどだった。

横歩取り△4五角 基本図

また、親戚の叔父さん(姉の旦那の父)が将棋が好きと聞いて指しにいき、
最初に仕掛けられたのが横歩取り△4五角であった。。。

一応、曲りなりにも対策は立てていたので、何とか勝つことは出来たが・・・

アマチュアで人気の作戦、というのは何となく知っていたが、
まさかここまで人気があるとは・・・

横歩取り指しを目指す以上、この変化は何より先に対策する必要がある。

ということで、激指先生を相手に対策する傍ら、ちょうどその頃出版になったばかりのこの本を読もうと思ったのだ。

2. 対象読者は??

横歩取りで後手で激しく攻めていきたいと考えている人、もしくは、
横歩取りを指していて後手からの変化に悩まされている人、だ。

棋力については、著者の飯島先生からの一文を抜粋することとしよう。

アマ四段レベル同士の方の対戦なら、
十中八九、研究しているほうが勝つと思う。

P.12より引用 

このブログを読まれている方々にも、十分役に立てる本だ。
知っているか、知らないか。それだけで勝率がかなり変わってくるだろう。

3. 本の内容は??(研究範囲とその深さ)

この本は、以下のような構成になっている。

序章 横歩取り裏定跡の入り口 (約6ページ)

第1章 △3三角戦法 (約38ページ)

第2章 △4四角戦法 (約40ページ)

第3章 △4五角戦法 (約104ページ)
 第1節 △4五角戦法の前に
 第2節 △4五角戦法の入り口
 第3節 △4五角戦法本編

巻末付録 戦法をマスターするための次の一手、チャート

本の約半分は、△4五角戦法に充てられている。
やはりそれだけ指されていて、変化も多岐にわたる戦法なのだ。
プロの実戦例もあり、短手数で決着がつくような棋譜もある。

また、本編前の入り口、△2八歩の意味なども、深く理解することが出来た。

各戦法で共通の狙い筋があるため、ひとつの狙いを他の戦法でやった場合・・・
という風に読み進めることが出来る。

微妙な違いがものを言う戦形だからこそ、先にマイナーな△3三角を持ってきたところに、
著者の工夫があると感じた。

先手に正確に指されれば、後手の無理筋

という結論がある中、深く解説している本が多くは無かった。
それを理解するのには最適の本だ。

4. 意見/感想

盛りだくさんの戦形を、ある程度深く研究するのに役に立った。
特に△3三角戦法は、私にとっては未知のものだったので、興味深かった。

「ホントにこんなんで上手くいくのか?」という、単純な戦法に見えるだけに、
後手も先手も正確に指すのが難しい。

実際に、後手をもって将棋ウォーズでも試してみたが、3戦やって3回ともに先手優勢の局面まで持っていけた。
 (時間切れ負けをしてしまったものもあったが・・・)

そして、△4五角戦法も試してみると、確かに後手が面白い作戦だ。
アマチュアの中で流行する理由が分かる。
しかも、この本に無いような手もいくつか考えられる局面があり、
まだまだ奥が深い作戦だと感じた。

私のスタンスは、プロで指されるのような横歩取りを指したい、
というところなので、後手で積極的に△4五角を採用はしないが、
今まで以上に横歩取りの面白さを体験することが出来た。

ただ、研究局面において「こう指したらどうなるんだろう?」の
疑問が触れられてない手もあった。
そういう類は、自分で検討し、激指先生と相談する必要があったし、
これからもまだまだ研究を重ねていく。

すべてを本の中で網羅してするのは難しいのだろうが、
候補手として上げておいていただけると、なお良かったと感じた。

5. まとめ

先手番で横歩取りを指したい人で、気がかりな後手からの急戦に対応したいと考えている人。
もしくは、後手で一気に攻める横歩取りを指したい人。
横歩取りの楽しさ・激しさを感じたい人。

この一冊を読めば、多くの狙い筋を理解し、対応出来るようになるだろう。
私の横歩取り研究にも、非常に役立っている。

横歩取りは先手・後手のどちらからも拒否することが出来るので、
横歩取りを指さない人には全く関係の無い本だ。
(そんな人はこのブログを読んではいないだろう)

急戦の面白さ、激しい将棋の楽しさを感じたい人には、
紛れも無い良書である。

ご興味もたれた方は、ぜひお買い求めいただきたい。

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