電王戦Finalがあと2週間に迫った。
今年も「電王AWAKEに勝ったら100万円」というイベントが今日・明日で行われている。
初日の今日、なんと研究手順でAWAKEに破る挑戦者が現れた。
しかもその後、同様の手順が2度も現れ、序盤にリードを奪う局面が現れた。
その手順、AWAKEの弱点(?)はこれだ。
電王戦のスピンオフ企画
将棋電王トーナメントの王者に一般の挑戦者が勝つことが出来たら100万円。
そんな企画が今年も、2015年の2月28日、3月1日に行われている。
プロ棋士と対峙する電王戦の本番とは、持ち時間もPCのスペックも大きく違うが、
それでもコンピュータに勝つことは難しい。
事実、去年の同じ企画でも、ついに勝つ人は現れなかった。
今年の電王AWAKEも同様に、やはりめちゃくちゃ強い。
解説の高見五段、山口恵梨子女流初段も、
「勝つ人が出て欲しい」とは願うものの、なかなかその気配は無かった。
ところが。
AWAKEに完封勝ち!?
穴熊のAWAKE相手にアッサリ入玉し、
と金で攻めて完勝し、見事100万円を勝ち取った人がいた。
中盤以降の入玉を想定した指しまわしも然ることながら、
序盤でいきなり角を打たせて桂馬と交換させる、という展開に持ち込んだのだ。
将棋倶楽部24でレート3000という、恐るべき実力の人だそうだが、
さすが、としか言いようの無い展開だった。
研究手だったそうである。
「ponanzaや他のソフトも指してくることが多いので、AWAKEでもそう指すだろう」
と思って今回の挑戦に望んだそうだ。
棋譜をご覧いただこう。
実にお見事。
ポイントは他の記事にまとめるが、
・△2八角を打たせて角桂交換に持ち込む
・自分だけ入玉する
というところが、勝因だろう。
特に入玉は、狙ってやってもなかなか難しい。
よほどの棋力がないと、まずこんな様な展開にはならないだろう。
桂・香はがしていくタイミングだったり、
▲9六香を先に打っておいたり。
非常に参考になる指しまわしだった。
面白いのが、この対局の後にまだまだ控えている挑戦者たちが、
こぞってこの「銀冠定跡」に誘導しようとしていったのだ。
△2八角定跡・・・はAWAKEの欠点なのか?
しかし、3台用意されているPCの2台は、誘導しようと指しても相振り飛車になる展開が多かった。
もちろん、これを指させないように、と調整を入れているわけではない。(と思う)
同じように飛車を振っても、この展開にならないことが多かった。
しかし、3台用意されたPCのうちの一台に限り、同じような局面が2回再現されたのだ。
その局面を見てみよう。
【勝利した将棋の局面】
【類似局面】
駒組みに多少の違いはあるものの、銀冠を先に作ろうと▲2六歩・▲2七歩としている。
そのときにできた隙間に△2八角と打つのを有効と見ているのは間違いなさそうだ。
しかし、早めに突いた▲1五歩が活きて、▲1六香と逃げ出すことが出来る。
加えて△1九角成とされても▲3八玉がセットで、この馬を確保することが出来ているのだ。
これがAWAKEに通用した銀冠定跡である。(?)
角桂交換、角と桂歩の交換、角銀交換と3ケースともに今後の展開は異なっていたが、
それでも十分に駒得し、序盤をやや有利に進めることが出来る。
後半の2局は残念ながら負けてしまい、私も棋譜を追うことは出来なかった。
駒組み部分だけになってしまうが、以下に紹介しておこう。
【銀冠定跡②】
【銀冠定跡③】
このイベントは二日制。
まだ、明日がある。
このような局面、明日何回出てきて、
そのうち何局で見事勝利することが出来るだろうか。
非常に楽しみになってきた。
電王戦の違った楽しみ方
コンピュータ将棋は、面白い。
普通の対局を見るのももちろん面白いが、
鬼殺しが飛んできたり、
横歩取り△3三桂戦法が飛んできたり。。。
将棋の奥の深さや今までとは少し違う楽しみ方を、しっかり味わわせていただいている。
電王戦、今回がFinalということで少し残念だが、
また来年以降も、何らかの形で続けて行って欲しいと思う。