3/28の土曜日に、将棋電王戦FINALの第3局が行われた。
稲葉陽七段 vs やねうら王の戦いは、事前研究を重ねに重ねてきたハズの稲葉七段が負けてしまった。
あまりいいところを出せずに負けてしまったような印象だが、対局を振り返ってみよう。
これでプロ棋士側の2勝1敗、勝ち越しはまだ先のようだ。
序盤の分岐点・・・空城の計ならず
序盤までは、わりと研究手順で進んでいたように思う。
横歩取り△3三桂が本番でも現れた。
門を開けておいて龍を成らせるあの手順だ。
そのあたりは、他の記事にまとめているので、そちらもあわせて参照いただければと思う。
将棋電王戦FINAL 第3局 稲葉陽七段vsやねうら王 速報 横歩取り△3三桂の再来
電王戦ドキュメンタリー 稲葉七段vsやねうら王 一分将棋 横歩取り△3三桂と空城の計
実戦の序盤
実戦ではそのような展開にはならなかった。
少し展開を見ていこう。
やはり、横歩取り△3三桂になった。
研究手順をなぞっているようにも見えた。
▲9七角をあがるなら、これが最後のチャンスだったが・・・
あがらず、▲6八銀を選択。
ここで、先手は6筋の歩を伸ばし、飛車を転換する方針になる。
ひねり飛車と横歩取りと石田流を合わせたかのような、
そんな布陣になった。
後手も飛車を回り、飛車が動き回る激しい展開になってきた。
ここは、▲2八歩と謝るしかない。
中盤の急所
さて、中盤に入ったところだが、ここからの構想がどうだったか。
▲3六歩と銀を追いかける。
追いかけるようだが、これは呼び込む手でもある。
やねうら王は、やはり△2六銀と出てきた。
そこでまた、▲3七桂と強気の応酬が続く。
後手は、戦いを起こす前に、△8三歩を入れた。
これがいかにもソフトらしい、玉の堅さを評価する手だ。
そして、この局で最も疑問に感じた手が出た。
▲2七歩
後手からでも打ってきたいところに、敢えて▲2七歩と突き進んだ。
これが疑問手だったと思う。
2筋を破られてしまうが、これで大丈夫だったのだろうか。
破られれば、飛車を成られてしまう展開が予想される。
そして、一段目に飛車を成られたとき、一段目がスカスカなのが良く分かるだろう。
玉に後ろから迫る、斜めの駒を渡すと一気に危なくなる。
実戦でも、こんな風に進んでいった。
▲2七歩△同銀成▲2五歩△同桂▲2七金△3七桂成▲同金
この瞬間、確かに銀の駒得をしているのだが・・・
△2九飛成、これが痛いのではないだろうか。
後手から見れば、香を拾えそうなので、駒損を気にする必要はほぼ無い。
さらには桂馬をさばけ、飛車を成り込み、
玉形も堅くはないが、それは先手も同じこと。
この局面は、▲2七歩を突いたときからの想定できる範囲であった。
つまり、稲葉七段が誘導したということになるのだが・・・
どこか、読み抜けがあったのかもしれない。
・・・と思って激指で解析させてみたところ、
なんとこのあたりは稲葉七段のほうが若干の有利と表示された。
飛車を成られても銀得が大きいと見ているのだろうか。
とはいえ実際は、ここからは辛い局面が続いた。
辛抱どころの局面が続く
とはいえ先手も、攻めないことには話にならない。
▲7四歩△同歩に▲8五桂と玉頭を攻める。
後手玉も薄いので、これで手になれば確かによくなるかもしれない。
しかし、続く△2二角。
これも痛打だ。
先ほどお伝えしたように、先手陣は角の打ち込みにはきわめて弱い。
△4九角の王手は、7六の飛車も狙われる形になる。
さらには遠く、8五の桂までも・・・
このあたりから、ハッキリ苦しくなってきたと思う。
▲2二角成△同金▲4九桂
本当は▲3九歩を打ちたいところだが、二歩なので出来ないし、
▲3九桂も△3八歩でジリ貧だ。。。
△1九香と駒を補充され、▲7四飛と攻めては見たものの・・・
△6六桂が辛すぎる。
▲6七玉には△5八角だ。
この後は、入玉を目指すものの、それも出来なかった。
それほどまでに駒損が大きくなってしまったからだ。
詳しくは、以下の棋譜でご確認いただきたい。
まだまだ続く電王戦。次は第4局。
続いて来週は、村山慈明七段vsponanza 戦だ。
練習対局ではかなり負けていたようだったが、最後のほうには自信の表情になっていた。
そして、後手版で横歩取りを指すと宣言していた。
さて、どういった展開になるのだろうか・・・
こちらも目が離せない。
来週末も、また楽しみだ。