薄れていた将棋への興味を一気に引き戻し、毎日の習慣とまでさせてくれた「横歩取り」。
ここでは、私から見た横歩取りの魅力について改めてお伝えしよう。
興味・好奇心こそが最大の学習欲である。
あなたも横歩取りにもっともっと精通し、強くなりたいのであれば、
その魅力について改めて確認してみよう。
あなたの横歩取り学習スピードがグンと上がるはずだ。
1. 何が違うの?他の戦法と横歩取り
お互いに飛車先を交換し、角道が通ったまま。
言葉にするとこんな単純になってしまうが、指してみると全然違う。
この超好戦的なその格好が、他の戦法と圧倒的に違うことだ。
1-1.違いその① 飛車先の交換をお互いに行う
まず、飛車先の交換。
格言でも言われているとおり、3つの得がある。
飛車先の歩交換三つの得あり (ひしゃさきのふこうかんみっつのとくあり)
飛車先の歩交換に三つの得があるということ。
三つとは、一つは持ち駒に歩が増えること。
二つ目は歩が居なくなった升目に自分の駒を進められる事。
三つ目は飛車先が敵陣に直射していること。wikipediaより引用
お互いにこの利を持つということは、攻め合いになりやすいということが分かるだろう。
お互いに飛車先の交換を行う、相懸かりという戦形以外では、
普通は飛車先の交換は簡単には許してはいけない。
自分だけ交換できれば、それだけでかなり有利といっていいだろう。
1-2.違いその② 角道が通ったまま
次に、角道が通ったままという点。
これは、いつでも角交換のチャンスがある、ということを意味している。
普通は、角筋を止め、いきなり交換にならないようにするのが普通だ。
何故なら、角を交換した場合、角の打ち込みにはお互い気をつけないといけなくなる。
つまり、序盤の駒組みに大きな制約を受けることになるのだ。
また、打ち込まれれば馬が出来るのは必至なので、激しい戦いになりやすい。
1-3.他の戦形の序盤と比較してみる
お互いに飛車先を交換し、角道が通ったまま。
この両方を満たす横歩取りの激しさが、よく分かっていただけたと思う。
矢倉・四間飛車ぐらいしか指したことのなかった昔を思い出すと、
横歩取りは「なんだこの戦法・・・怖すぎる、指せない・・・」という印象だった。
では、他の戦形の序盤と比較してみよう。
矢倉であれば、▲7六歩△8四歩▲6八銀△3四歩▲6六歩と進む。
四間飛車であれば、▲7六歩△3四歩▲2六歩△4四歩、そして▲6八銀△4二飛と進む。
角筋を止め、いきなり交換にならないようにするのが普通だ。
角を交換するので、角の打ち込みにはお互い気をつけないといけなくなる。
打ち込まれれば馬が出来るのは必至なので、激しい戦いになりやすい。
なので、矢倉や四間飛車では、王を囲えるまで角交換を避けるのだ。
もちろん、角を交換するような戦法もある。
角換わりであれば、▲7六歩△8四歩▲2六歩△3二金▲7八金△8五歩▲7七角
ここから△3四歩▲8八銀△7七角成▲同銀△4二銀と進む。
もちろんここに挙げたものが全てではないが、
序盤から横歩取りが激しくなりやすい形であることはご理解いただけるだろう。
2. 激しい変化の多さ
現在の横歩取りの花形戦法は、△3三角型空中戦法だ。
序盤から大駒がぶつかり合い、プロ同士でも総交換になる変化も多い。
やはり横歩取りの魅力は、その激しい攻防にあると私は感じている。
アマチュアでも激しく力勝負が出来るのは楽しい。
プロでは研究され尽くされ、わずかな優劣さえも気にするプロは、
もう指さなくなってしまった変化もある。
横歩取り△4五角戦法がその代表格だ。
しかし、そのプロが指さない形であっても、あまりにも激しくあまりにも魅力的なのだ。
ハメ手のような展開で、後手から一気に攻め立てる。
先手は、正しく受けて後手を跳ね返す。
鬼殺しを初めて知ったときのような、ワクワク感がそこにはある。
そういう、水面下での激しい変化のことを思うと、
横歩取りが寄りいっそう魅力的な戦法に思えるのだ。
3. 日々進化し続ける定跡
研究され尽くされている形もあるとはいえ、横歩取りはまだまだ進化し続けている。
玉形は△4一玉なのか△5二玉なのか、
飛車を引く位置は△8四飛なのか△8五飛なのか、その微妙な違いでまた形勢が変わってくる。
最近では、△2四飛と回って飛車をぶつけるような変化が生み出され、
それは私にとって本当にダイレクトに定跡の進化を感じることが出来た。
定跡を学ぶことももちろん面白いが、
定跡が作られていく過程を見ることが出来る。
それも、横歩取りの魅力のひとつだ。
4. プロ棋士の採用率の高さ
将棋を見る機会といえば、NHK杯やニコニコ生放送のタイトル戦が多い。
そこで繰り広げられている戦法を理解して、自分でも指したいと感じるのは当然だろう。
もちろん矢倉・角換わりや振り飛車も多く見かけるが、横歩取りも非常に多く指されている。
羽生さんの採用率も非常に高く、2010年以降は年に10局以上は横歩取りだ。
年間に約60局程度の公式戦ということを考えれば、10局というのは相当の確率であることが分かるだろう。
そして、私の好きな棋士が多く指しているから、というのも魅力と感じるひとつだ。
渡辺明さん、佐藤天彦さん、豊島将之さん・・・
そういう応援している人たちが横歩取りを指し、かつ華麗に勝っていたりする。
「ああいう将棋って、いいなぁ・・・」
その想いがそのまま、横歩取りの魅力になっているのだ。
5. まとめ
横歩取りとは、激しく緊張感のある戦法だ。
トッププロたちの採用率も高く、それに相まって定跡が日々進化し続けている。
私自身が横歩取りを指せるようになっていくこと、
その喜びそのものが、魅力なのだ。
いったん好きになると、それがどんどん加速していく。
この想いを広めたくて、ブログまで立ち上げるようになったのだ。
ぜひ、この魅力をあなたにも感じてほしいし、
あなたも一局でも多くの横歩取りを指してほしい。
あなたの横歩取りライフの一助となればと思う。